4.エネルギーに着目した耐震設計法の秋山宏教授

地震入力と建物耐力を地震による入力エネルギーと建物の吸収エネルギーに対比させた事により成り立つ耐震設計法として確立したのは秋山宏教授である。エネルギー論的立場からみて最も耐震的に好ましい構造形式は何であるかに言及し、従来の構造形式の枠を脱却する事によって合理的な耐震構造手法を体系化した。教授は 「耐震設計における入力エネルギーは主として建物の総質量、一次固有周期にのみに依存し、建物の復元力特性の形態、降伏強度、質量分布、剛性分布によらない安定した量である」と結論する。対して、建物の吸収(消費)エネルギーを減衰消費エネルギーと弾塑性歪みエネルギーに大別する。又、弾塑性歪みエネルギーの中の塑性歪みエネルギーを損傷に寄与するエネルギーとして位置づけた。結果として付加減衰消費エネルギーの重要性から今日の制震、免震構造の発展の理論的根拠を提供した意義は大きいと思われる。
 

参考文献 
建築物の耐震極限設計 第二版 秋山宏 著 著東京大学出版会
エネルギーの釣り合いに基づく 建築物の耐震設計 秋山宏 著 技報堂出版




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