5:弾性歪みエネルギーはエネルギーを吸収するが消散、消費はしない

永らく力の釣り合いのみで耐震設計がなされてきたが、今後はエネルギー論的手法による解析が主流となると思われる。その際に使用される新用語に関してはより慎重に用いなければ成らない。 以下は「塑性歪みエネルギーがエネルギーを吸収する」に関して述べる。
弾性歪みエネルギーによる吸収は靭性に富む主架構であれば衝撃的な地震入力に対して一時的にエネルギーを吸収して過大な加速度入力を抑える役目をする。しかし、弾性歪みエネルギーはポテンシャルエネルギーとして一時的に貯えられるので振動状態における共振入力エネルギーの増大に対してポテンシャルが吐き出される事になる。共振入力エネルギーに対しては減衰消費エネルギーと塑性歪みエネルギーが役割を果たす。その場合のエネルギーは熱エネルギーに転化するので吸収エネルギーと言うより消散、消費エネルギーと言う事になる。弾性歪みエネルギーの吸収つまり見かけの消費、消散は地震の終了時までに減衰エネルギー、又は塑性歪みエネルギーが肩代わりして消費、消散する。制震ダンパーは付加減衰エネルギー、付加履歴エネルギーとして消費、消散する事で主架構の損傷を防ぐ事になる。
以上の理由で「弾性歪みエネルギーがエネルギーを吸収する」については更なる議論を深める必要がある。





ロゴ