6.揺れを制する 小堀鐸二 著 (鹿島出版会) 抜粋
積極的に大地震がきたら予め壊れるところを予定しておいたらどうであろうか!
例えば壁にその役割を担わせてみよう。
ご存知のように壁や筋違を入れるということは地震で建物が揺れる場合にこそ有効なことである。それが有効であると言う事は地震の時に大いに力になってくれるからである。それを壊して地震に肩透かしを食わせようというの建物が地震により塑性領域に入るということは非線形領域にいるわけですし、地震の波は定常的ではないに決まっています。
建物が塑性領域に入って助かるか助からないかかは、かなり微妙なあたりですが、塑性域でヒステリシスを画くことによって、履歴でエネルギーの吸収が起ります。エネルギーが吸収され周期が延びて、倒壊しないですめばいいが、延びた周期に共振する波が次にやって来たらアウトです。
ではいったいどうしたらいいのか。
入力がはっきりしないのに構造物を安全なようにつくらなければならないとなってくると、いじれるのは建物の中だけです。それこそ構造制御というか、制震構造の対象になる。ストラクチュラルコントロールと言う英語の方が確かなのかなと思います。
復元力特性は動的試験のデーターを使うべき未だ疑問に思うところは復元力特性です。今の復元力特性は、静的試験によって得られたものです。それを動的なプロセスの上に乗せて、コンピューターで応答解析をやりますが、だからこれは本当の意味の動的解析ではないと思います。
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