19.木造建物は一部の階だけ面材(合板、筋かい)を増やすと逆に危険になる
建物は1階の層間変形と2階の層間変形が異なると変形の大きい階に変形が集中する。これは前述の如く、力が一定で変形が自由の各層直列バネの原理である。木造建物の面材が負担水平力に応じた耐力を持っている事が重要で、必要以上の面材をある階に入れすぎると、その階はエネルギーを吸収せずに相対的に弱い、他の層だけが集中的にエネルギーを吸収しようと変形が益々大きくなる。この現象は各層直列バネの原理に加えて、他の層だけが先に塑性状態に移行することで説明できる。建物共振の原理から見ると相対的に弱い層の固有周期(1次固有周期)は強い層よりも長く、その層が地盤の固有周期と同調した場合は更に変形が加速される事になる。木造の許容応力度計算等では各階の層間変形を揃えるこの規制はない、しかし、エネルギー法ではこの現象を「損傷集中係数」と言う呼び名で表現し、その危険性に対して配慮している。各層直列バネと前述の層内直列バネ(偏芯による弱い列の変形)が足し合わせられる事もある。
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