21.ロバート・フックのエネルギー概念

ロバート・フック 中島秀人 著  科学史ライブラリー 参考

フックの法則で有名なロバート・フックが1678年のカトラー講義「復元力について」「バネの伸びは力に比例する」と述べる一方で「全ての運動物体の速度は、それを動かす勢力の平方根に比例する」と述べている。フックは単振動の等時性の解析に、エネルギーに相当する概念を採用した。しかし、フックの時代は「強さ」「力」「圧力」「勢力」等の用語をほとんど同義に用いていたようである。フックは初代のイギリス王立協会の会長でありその後のニュートンにより力の定義は整理された。しかし、フックの言う「勢力」をエネルギーの指標と解すると真に現代的なエネルギー定義と寸部も変わらない内容となる。つまり速度は加速度x変形の平方根であり速度の2乗は加速度x変形である。どちらも質量を乗じるとエネルギーでである。時代を経て200年後のアインシュタインは有名な公式E=MC2の理論を発表した。光の速度Cを物体の速度Vと置き換えるとE=MV2である。アインシュタインは質量とエネルギーの関係で物理学会に衝撃的革命をおこしたが今から、330年前に同じ概念を示したフックはあまり世の中に知られていない。更に、フックは弾性の原因について物質内部の微視的な振動の観点から論じている。「知覚できる世界は、物体と運動から構成されており、物体は、周囲から伝わった作用によって内的に振動している。この時、共鳴現象の場合にように、物体は特定の運動のみを選択的に受けとっている。相互に接触している物体の部分は、互いに揃った運動をしている。」と述べている。現代物理の最先端である超紐理論は物質の最小単位を振動する紐として説明している。フックの解く理論は現代においても枯れることなく咲き誇りむしろリードさえしている事に驚きの念を禁じえない。





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