GVA工法耐震補強の採用について

GVA工法を既存木造戸建て住宅の耐震補強として採用する場合の基本的考え方、注意点を以下に列記します。
通常の耐震診断の方法は工法の採用の有無に関わらず以下の流れに従う必要があります。

  1. 財団法人日本建築防災協会発行の「木造住宅の耐震診断と補強方法2004年7月12日発行による一般診断法により診断を行った上で、更に耐震補強を実施する場合に行わなければならない詳細な耐震診断法である精密診断を実施する必要があります
  2. 精密診断には
    • @保有耐力診断法
    • A保有水平耐力診断法
    • B限界耐力計算法
    • C時刻歴応答計算法の4つの方法があります。

基本的にどれを採用しても構いませんが現在多くの人が耐震診断補強に採用している流れは@の保有耐力診断法です。まれに伝統木造の耐震診断補強にBの限界耐力計算法を採用されています。

GVA工法の採用の場合においても基本的にはGVA設置しない条件で通常の耐震補強を行ったうえで上記の精密診断を合格する事が必要です。
その理由として

@GVA工法のダンパーである、粘弾性体は速度に依存する性質の材料です。
つまり、地震等で建物が激しく振動する場合に効果を発揮します。
しかし、木造戸建て住宅の場合は地震だけでなく台風等の強風による横力に対して耐力を発揮しなければなりません。
風力は動的荷重ではありますが高さの低い住宅に対しては静的な荷重として扱います。ダンパーは静的な荷重に対しては効果を発揮する事ができません。

AGVA工法は建築防災協会の認定を取得していませんので換算壁倍率は無く限界耐力法等での計算は行政等の補助金制度の対象とはなりません。

その上でGVA工法を採用する場合は精密診断結果と耐震補強計画書、計画図面を基に通常の新築同様の条件で配置、箇所数の検討を行います。
但し、新築と異なる工事条件には綿密なる打合せが必要です。
例えば、居ながら施工の確認、外部側よりの工事、内部側よりの工事、内外工事、基礎コンクリート工事の有無、等です。特にGVA工法に必要とされるホールダンアンカーはアンカーボルトの固定にケミカルアンカー若しくは同等の工事が伴います.
ダンパー設置後の性能比較に計算書が必要な場合は精密診断の時刻歴振動応答解析を有料でお受けいたします。