11.ストラクチャー書評 建築杭基礎雑考

著 者 杉村義弘 
発行所 総合土木研究所/A5版/274頁/定価 本体3000円+税


我々、建築構造の仕事は基礎なくしては成立しない職業であるが、他の次元において視野を広げると地球の中核は 重力原点として1次元、世界の地面を構成する土の領域は2次元、地表面の生活領域は3次元と言われている。大地の持つ根源のパワーは全ての生命を司る神聖なものであり、又、2次元の土は3次元のより多くの情報が内蔵されているそうである。今後と神聖な土を掻き回すものとして基礎工法に対しては特に真摯に対処すべきであると考えるものである。
その意味で、今回のタイトル「建築杭基礎雑考」は、建築杭を単なる法律、解析、計算の解説本とせず、感性的に広く見つめ直す意味が込められていて共感のもてるものである。内容は3部構成であり。1部はメモをまとめた個人的見解としながら@パイルド・ラフト工法の歴史的記述、現代的解釈の問題点。A周辺摩擦力と先端支持力の変位の適合条件を無視して加算することの問題点、B地震時の地盤の変位を杭に与えて解析する、応答変位法に対する「荷重分布法」の提案。C比較的硬い中間層の存在するケースにおける、チャンの解の無意味、等々に触れている。2部では豊富な文献を駆使した研究慨史として@現在の螺旋杭の原型が1923年の関東震災の復旧に横浜埠頭で使用された例の紹介。A地盤に「許容応力度」の用語は不適格、等々。3部は随想風にて@杭の文字の起源を徹底的に掘り下げている。何れの内容も長年杭及び基礎の研究に携わった著者ならではの示唆に富んだ内容で満ち溢れて入る。専門家でない読者として、この種の技術本で一気に読み通せたことが何よりの証である。実務者のみならず若い構造構造技術者に是非薦めたい冊子である。                        
真崎雄一




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