13.ストラクチャー書評 「マンションの選び方・育て方」
社団法人 日本建築学会 編著
彰国社/四六版/190頁/定価 本体1800円+税
本書は日本建築学会住まいづくり支援建築会議情報事業部会によるマンション選びのハウツウ本です。単行本のちいさな雑誌にしては関係する執筆者がなんと23人とすごい、
さすがに学会ならでは出来ない広い分野からの重厚な陣容である。専門家でない読者層を意識して「ですます調」統一している。目次も分りやすく知りたいところを拾い読みできる気軽さが良い。「はじめ」に書かれている内容は{読者の皆様さんがその「わけ」を知って、マンションを選ぶための確かな目を養っていただくためにつくられました。
マンションの見方の基本を知り、自分で良し悪しを確かめられるように編集しているのが特徴です。}とある。目次は Tマンションに住むとは Uどこに住むか Vどう選ぶか Wどう住み続けるか 大別の上、更に細かい内容に分けている。買う前に考える住まいの代表的な性能図に「機能性、経済性、構造安全性、耐久性」に加えて人類共通の課題である「地球環境保護性」が上げられ入る点が今日的である。「モデルルームの見方、内覧会に見方」の項目は、これからマンション購入を考えている方にとっては具体的である、ちなみにチェックリストにメジャー持参、更にこの本持参であればディベロッパーはビックリするであろう事が想像される。
我が家もマンション?(当時の公団住宅)に住み続けて25年であるが。購入するときに
専門家の端くれとして考えたのは交通、環境、日当たり、それに予算だけであった。
25年目前にこの本を読んでいたらと、想像しても本書の全てを考慮に入れることに対してはとても無理で「あとがき」に書かれている予算の制約の我慢であった。
長期修繕にしても共用部分は幸い定期修繕のお陰でまだまだ大丈夫であるが、専用部分である当方に有っては、内装のクロス剥がれ等はまだしも、浴室、台所の水周りの不具合に加えて換気扇は悲鳴をあげて青息吐息の状態である。結果として帯広告の「住み手が育てる」は、ローンの支払が精一杯の我慢ばかりであったかな?と考える。とは言っても、我々構造技術者も一生に何度も無い購買層の立場としてだけではなく、売主側の設計専門家としての説明義務があり、その面からも是非一読に値する冊子である。 |
真崎雄一 |
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